介護現場では以前から、食事・排泄・入浴の3つの介護が主に重要であると考えられており、実際にその考えに従った形で取り組まれてきました。しかし、現在ではこの3大介護のみでは十分な介護とは言えないという考えも出てきました。もちろん3大介護は患者の生活を支える基盤となる大切な部分であり、必要不可欠であることは間違いありません。ただ、3大介護は肉体面でのサポートに偏っており、精神的な健康や安心に関わる部分をフォローしきれていないのが問題です。
利用者の心のケアは、体調や病状の進み具合にも大きく影響する重要なポイントです。利用者一人ひとりの性格や抱えている問題は多種多様であり、サポートする側も画一的な対応では利用者の不安を取り除くことはできません。個人に合わせた声がけや会話をすることが、今の介護には必要とされています。また、社会的なつながりが失われやすい介護の現場においては、利用者本人のみならず、その家族も孤立し、疲弊していくことが珍しくありません。患者の周囲を含めたサポートを行う事で、利用者とその家族がより快適な生活が送れるようになるのが望ましいのです。
このようなニーズの変化に合わせて、介護現場で必要とされる人材の層も変化してきている。肉体労働という側面に加え、利用者の気持ちに寄り添える能力を持った人材が必要とされています。3大介護に抵抗があるという人でも、心理面でのケアに特化した介護の仕事などで活躍する事ができるようになりました。変化していく介護のあり方に合わせて、今後、行政のサポートや地方自治体との連携なども重要になるという事が言えるでしょう。